アブサン研究室 -La Vie en Wormwood-

アブサン愛飲家が、アブサンの魅力を語るブログです。アブサンが飲めるバーで実際に飲んだ感想やアブサンが印象的な映画などについて掲載します。

【聖なる三草】アブサンに欠かせない「ワームウッド/ニガヨモギ」とは??

 
 
 
アブサンを造るうえで欠かせないハーブが、このワームウッド/ニガヨモギである。
(ワームウッド、グリーンアニスフェンネルの3つがアブサン造りにおいて要)
何百種類もあるヨモギの中で実際に伝統的なアブサンのメインハーブとして使用されるのは「ニガヨモギ」であり、上質なニガヨモギはアブサンの魂なのだ。
和名ではニガヨモギと呼ばれるが、"Grand Wormwood"や”Common Wormwood”とも呼ばれる。学名では"Artemisia Absinthium"だそうだ。ハーブの世界では、この学名をしっかり確認して使用することが重要だ。なぜなら、似たような名前の植物でも成分が異なるものや、使用して良い部分や使用方法が異なるものもあるからだ。使いたいハーブがある時は事前によく調べ正しい部位、用法で使おう。
 

ニガヨモギの基本的な特徴

学名はキク科ヨモギ属アルテミシア アブシンチウム。
ヨーロッパやアジアを原産とする灌木類だ。日本にあるヨモギとは異なり、元々日本には無かった植物で江戸時代に入ってきた。
寿命が長く、生命力が強い植物で、灰色がかった葉をつけ、草丈は40cm〜100cm。120cmにまで成長することも。夏から秋にかけて黄色いちいさな花を沢山つける。
花が咲く前のつぼみの状態で根を残し、地表部分から収穫する。一株に対し約6〜7年間は収穫可能な多年草。
花などから甘い香りがすることから、ヨーロッパでは防虫剤としても活用されてきた。
キク科は約180種からなる植物群であり、タラゴン・エクストラゴン(ドラクンクルス属アルテミシア)やヨモギ(一般属アルテミシア)などがある。
 

こちらはニガヨモギ

こちらはニガヨモギ

こちらは日本でも生えているヨモギ。ニガヨモギと比べて葉っぱが広がっている。

こちらは日本でも生えているヨモギ。ニガヨモギと比べて葉っぱが広がっている。
 

名前の由来色々、、、

 
ニガヨモギ(和名)
  • 葉はヨモギの形に似ていて、ハーブの中で最も苦いと言われる事から「ニガヨモギ(苦蓬)」という名前がついたと言われる
 
Worm Wood(英名)
  • エデンの園から追放された蛇(worm)の這った後に生えたという伝説に由来している。
  • 防虫剤としても使用していたという事から、「虫の木」と言われるようになったとも言われている。
  • 古英語 wermod (霊ー母)の転訛形
                       など、、、
 
Absinthum(学名)
  • 「聖なる草」を意味するエルブ アブサントに由来すると言われている説。
  • 薬草の母と言われ、ギリシャ神話の女神アルテミスに捧げられたエピソードより由来する説。
  • カリア国王マウソロスに妃アルテミシアに由来する説。
 
                       など、、、

ニガヨモギの花言葉

平和、冗談、うわのそら、苛酷、不在

一口噛むと爽やかな香りとは裏腹に強烈な苦みが口の中に広がる。

これはニガヨモギに含まれる天然有機化合物「アブシチン(absinthin)」などからくるものであり、精油成分に含まれる「ツヨン」からくるものではない。
 

栽培方法

適地・土質
日当たりが良い場所もしくは半日陰、水はけの良い場所
栽培・管理
通常3月〜6月、9月〜11月に鉢などに種蒔きし薄く土をかける。水が乾かないように管理。発芽し始めたら適宜間引き、本葉5〜6枚になったら50cm程間隔をあけ定植。 
 
▼ワームウッド育ててます。▼用意した道具や、観察日記など、、、
 

ニガヨモギの歴史

11世紀
 アラビアの医学者であり哲学者のアウィケンナはニガヨモギに食欲増進を図る効果があると伝える。
 
14世紀
 イタリアの医学校では船酔いに効果があると教えていた。その後リウマチ、ペスト、コレラ、扁桃腺炎、中耳炎、虫歯などに効果があるとされ、また駆虫剤として用いたり、その衣類の防虫剤」としても用いられてきた。
その効果の真偽はともかくとして、様々な用途や病気に利用されてきた。
 
18世紀
 パリ中央大学の教授によって『自然史辞典』が出版された。それによるとニガヨモギについて以下の様に記されている。
『主なニガヨモギの用途は医療用である。気付け薬、胃薬、解熱剤や通経薬として使用する。またニガヨモギを染料に使った「アブサン染め」と呼ばれる染物が作られたりワインに浸けてベルモットをこしらえたりもする。蒸留することで香り高いスピリッツやエッセンシャルオイルを作ることもでき、また夏にはビールに一滴たらす事で酸化を防ぐことも出来るまたベルモットなどのニガヨモギを調合したリキュールは、胃弱や食欲不振の増進、消化促進や虫下しに効果がある。しかしながら多量摂取により生翼弦タイヤ様々な神経の病を招く恐れもある。』と書かれている。
 これに基づきフランスの医師がニガヨモギを原料とし、蒸留したアブサンの処方を試みた。当時フランス軍はこれを解熱剤として採用していたが、連用すると幻覚や錯乱が生じるとされ、その後製造販売が禁止になった。当時の芸術家たちはこのアブサンを愛飲し、ゴッホやアルベールはアブサンの緑を美しい色彩で描いている。
 
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