アブサン研究室 -La Vie en Wormwood-

アブサン愛飲家が、アブサンの魅力を語るブログです。アブサンが飲めるバーで実際に飲んだ感想やアブサンが印象的な映画などについて掲載します。

【聖なる三草】アブサン作りに必要なアニスとは?

アニス、いわゆる「グリーンアニス」は、まだ日本では馴染みがないようだが、美味しいアブサンを作るために必要なハーブの一つなのだ。
「スターアニス」という全く別品種もある。こちらもアブサン造りに使われるハーブ。
 
 
グリーンアニス
【原産地、生息地】
そもそもアニスはセリ科の一年草であり、古くから香料や薬草として利用されてきた。
原産地はアナトリア半島、ギリシア、エジプトといった地中海東部地域である。風通しが良く温暖な気候を好んで生息している。
 
【味】
リコリスにも似た甘い風味。ヨーロッパでもアニスの持つこの風味を苦手とする人も多く、アニス無しのアブサン販売サイトがあるほど。ちなみにチェコのアブサンはアニスが使われていないものがほとんどである。
 
【香り】
アニスの持つ鋭い個性的な甘い香味は香り成分のアネトールによるものだ。また、防腐効果もあり、ミイラの防腐剤としても使用されていた。昔から『香り』というものは悪いものから身を守ってくれる力があると信じられており、アニスも例外では無かったようだ。枕カバーにアニスシードを入れて寝ると悪夢を見ないと言われていたり、部屋にアニスの葉を置いて悪いエネルギーから身を守る役目も果たしていた。
 
【効果、効能】
アニスのハーブティーを飲んだり、うがいをすることにより、
口臭予防になる。歯磨き粉にも使用されることも。
消化促進にも効果があり、胃腸の働きを良くし、胃もたれを防ぐ。
その他、防腐作用、利尿作用、鎮咳作用、鎮痛作用等に効果がある。
 
アニスはケーキやクッキーなどのお菓子やパン、カレーやピクルス、魚介類、鶏料理、クリームスープやソースなど幅広い料理に利用される。
 
 
アブサンが白く濁るのはアニスの作用
アブサンの象徴とも言える白濁現象だが、アニスの精油作用によるものとされている。
 
 
スターアニス(badiane、トウシキミ)
シキミ科の植物トウシキミの実を乾燥させた香辛料。
中華料理の八角のこと。高価なグリーンアニスとは別物。
グリーンアニスと同様にアネトール成分を含んでいるため、下級品的扱いで代用品としての側面もあるが、高級アブサンでは「スターアニス未使用」などのようなことが書かれていることもある。入れすぎると全てをだいなしにする、しかし全く未使用だと手間と経費がかかり高級品に、、、。
白濁する役割ももちろんあるのだが、グリーンアニスがもたらす柔らかい霧のような乳白色には敵わない。だが、パスティスを含むほとんどのアニス酒での使用率は高く、手軽に清涼感を得られる重要なハーブには間違いない。
 
 
出典元 『スパイス&ハーブ辞典』武政三男、文園社
    『世界の食用植物文化図鑑』バーバラ サンディッチ、ジェフ ブライアント(編)山本紀夫(訳)、柊風舎
 
 
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