まるでシルクのフレアスカートの様にふわっと広がる土台。少し上に視線を動かすと、キュッとしたくびれ、そして大切な物を受け止め、包み込む様なふふくらみがあり、またすぼまる。そして上部のチューリップのような膨らみが口元まで伸びる。
この強弱のついたカーブは、なんてゆったりとしていて、軽やかなのだろう。
手に取ってみると、ずっしりとした重たさを感じる。
ガラス表面の加工が所々施されており、ツルツル、ザラザラした感触を指先で楽しむことができる。この美しさを壊さないようにと、グラスを持つ手や体の動きは自然にゆったりと、そして背筋はピンと伸び、落ち着きを伴って、所作まで美しくなる。
まるで自分が、このグラスにそう動くように指示をされてしまっているかのようだ。そして、私もグラスと一体となり、共にP.P★クリスタルグラスという作品の一部になっていくかの様だ。
☆
こちらのグラスはP.P★★★CRYSTAL さんから購入たアブサングラスだ。
一つ一つ手作りで、世界にたった一つの私だけのアブサングラス。
このグラスで飲むアブサンタイム(グリーンタイム)は【アブサンと私だけの特別な時間】とでも言えようか。他のグラスの時にはみせてくれなかった表情をみせてくれる
注ぐ。
ガラス越しに見えるアブサンの美しさにドキッ。
光の反射具合やガラス表面の加工によって、角度によっていろんな表情を見せてくれる。
このグラスの面白さは、加水したときにもあらわれる。
丸い球体の中で白濁の反応が起こるのだ。アブサンによってその様子は様々で、じわりじわりと自分の陣地を攻めていくかの様に白濁していくものもあれば、ヒュルンヒュルンと一瞬で白濁し、それが筋となってアブサン内に見えてくるものもある。
待つ。
香りが立ち上がるまで、まつ。
何かを「おあずけ」されているようなもどかしさ。
すると、だんだんくびれ部分の奥の方から緑の香りが立ち上がってくる。
スワリング(グラスをクルクル回すこと)もあえてやらない事にする。
このグラスにゆだねて、ゆっくり香りの広がりを待ってみる。
急ぎすぎ、焦りすぎなこの世の中。アブサン飲む時くらいはゆっくりしても良いんじゃない?
迎える。
口を近づけてその液体を迎え入れる
グラスに口を近づけていって、グラスを傾ける。
ぜひ、ぜひ、ぜひとも、目線はグラスの中奥に移してほしい。グラスのくびれ部分奥の膨らみに注がれたアブサンが、トプトプと、ゆっくり出てくるのを観てもらいたい。
飲み慣れているいつものアブサンのはずなのに、心の奥が少しムズムズするような不思議な感覚がした。
今まで飲んできたゴブレットタイプのグラスとはまた違う楽しみ方。アブサンの見た事のない一面を覗かせてもらった。
P.P★★★CRYSTAL さんは個展もたまにひらかれているようなので、機会があれば実物を見てもらいたいし、手にとって艶かしさを感じてもらいたい!そして、これでアブサンを飲んでいる自分を想像してほしい。。。