『Van Helsing(ヴァン・ヘルシング)』
監督;スティーブン ソマーズ
出演;ヒュージャックマン
ケイトベッキンセイル
リチャードロクスバーグ
公開;2004年
製作国;アメリカ
ストーリー
舞台は1887年のトランシルバニア。トランシルバニアとは、ルーマニア中部に位置する地域であり、ドラキュラの伝説と深く繋がりのあるブラン城がある場所として知られている。
モンスターハンターであるヴァンへシングルと、一族をドラキュラ達によって殺されているアナ達の活躍を描くホラーアクションムービー。ジキルとハイド、ウルフマン、フランケンシュタインそしてドラキュラ等、西洋の古典モンスターが登場する。
『ヴァンヘルシング』とアブサン
物語の序盤、フランケンシュタインが村人に追われて風車小屋に逃げ込むシーンがあるのだが、そこにアブサンが出てくる。
風車小屋内の階段にぎっしりと並べられた瓶。
良く見ると「ABSINTHE」と書かれている。
作品の演出上、モノクロになっているがきっとこれらは全てヴェールタイプ。
写真がとてもわかりにくくて大変申し訳ないのだが、フランケンがアブサンを蹴散らしながら必死に階段を駆け上がって逃げる様子が描かれている。(なんて、もったいないことを、、、)
そしてそこには聖書も、、、。
実際の聖書にはアブサンの主要な材料「ニガヨモギ」についての記述があるのだ。
生きることに困難なこの時代にあるどうしようもない苦しみをニガヨモギの苦味に例えて象徴的に表現したものだと言われている。
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物語は進み、アナは自分の兄がもう元の姿に戻れない事を悟り、辛い現実を受け入れる。
そして、自分の愛する家族や故郷を奪った憎きドラキュラを退治しようと改めて心に強く誓うのだ。
すると、ヴァンヘルシングがそんなアナにアブサンを差し出す。
「このお酒に乾杯」「ヤケドしそうなお酒ね」というアナ。
モンスター達との激しい戦いの中で、二人は次第に惹かれあっていくのだが、これから訪れる2人の様子を表すようなアナの言葉だ。
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作中でのアブサンは、あえて積極的に「ABSINTHE」というラベルを見せてきたり、わかりやすい緑色だったり、「アブサン」とわざわざ字幕まで見せており意味があるのかなと考えながら見ていた。
アブサンは「緑の妖精」や「緑の悪魔」と相反する呼び方があり、ヒュー・ジャックマン演じるヴァンヘルシングもまた勇敢なハンターという一面を持ちながらも自身も狼男であるという2面性を持っている。
辛く苦しい時代と作品の背景、ヴァンヘルシングとアナの恋、ヴァン自身の2面性がそれぞれニガヨモギやアブサンに例えられており、そして物語の重要な舞台設定になっているゴシックチックな雰囲気もアブサンにマッチしている。
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