アブサン研究室 -La Vie en Wormwood-

アブサン愛飲家が、アブサンの魅力を語るブログです。アブサンが飲めるバーで実際に飲んだ感想やアブサンが印象的な映画などについて掲載します。

【アブサン×本】アブサンの文化史

アブサンについてもっと知りたい!でも本屋さんに行っても体系的に詳しく書かれてある本がなかなか見つからない、、、とお悩みの皆さま。そうなんです、ワインや日本酒等について書かれている本は山程あるのに、日本語訳されたアブサン関連の書籍はまだまだ非常に少ないのです。

 

今日はその少ないアブサン関連の書籍の中でも、2017年に出版された日本初ともいえる翻訳本をご紹介いたします。

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『アブサンの文化史』

著:バーナビー・コンラッド

訳:浜本 隆三 

 

本書の内容はだが、前半部分はボードレール、ランボー、ロートレック、ゴッホ、マネ、ゴーギャン、ピカソ、ヘミングウェイ等有名な芸術家、小説家達のアブサンにまつわるエピソードがずらりと書かれてある。アブサンは当時からワインやブランデーなどとはまた違う粋な飲み物として愛されてきた。この「緑の妖精」にすっかり夢中になっているこの巨匠達の、人間臭くも何だか愛おしくなるお酒の失敗談が載せられている。一体彼らはアブサンを飲みながら、何を思い、どんな会話を交わしたのか…。

後半部分は、アブサンをめぐる医療史、政治、そして戦争に関する内容が書かれている。

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[目次]

はじめに

第一章 とあるアブサン殺人

第二章 マネ、ボードレール、そしてアブサンの時代

第三章 アブサンと詩人達 ヴェルレーヌ、ランボー、ワイルド、ダウスン

第四章 ロンドンにアブサンをもたらしたドガ

第五章 モンマルトルからマルケサス諸島へ ロートレック、ファン、ゴッホ、モンティセリ、そしてゴーギャン

第六章 ジャリとピカソ アブサン色にかすんだ美術

第七章 古代から現代へ アブサンの起源をたどる

第八章 アブサンをめぐる医療史

第九章 アブサンと政治

第十章 アブサンと戦争

第十一章 禁止されてから

第十二章 アブサンはいま よみがえる「緑の妖精」

補遺 近年のアブサンについての研究

謝辞/訳者あとがき

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目次でお分かりになる通りとてもボリュームがあり、非常に読み応えのある内容だ。

芸術家を中心に起きた衝撃の出来事の原因はアブサンとされ、彼らの生きた19世紀のフランスの時代背景やそれらに夢中になったアーティスト達の物語、やがて起こるアブサン禁止の動きそして現在という流れで書かれており、とにかく流れがとてもわかりやすい。著書の中ではアブさんに関する絵や写真もたっぷりと載せられており、それをじっくり眺めるのもまたひとつの楽しみ方である。

 

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"アブサンの文化史". 白水社. 

://www.hakusuisha.co.jp/smp/book/b253047.html(2020.3.17)